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 江戸に幕府を開いた徳川家康は、幕府の政治的な支配力を強めるために、江戸と各地を結ぶ以下の5つの街道を整備して、四代将軍徳川家綱の代になって基幹街道と定められたそうです。具体的に街道の整備とは、街道を広げて整備し、路肩に松を植えたり、宿場を置いたりすることです。五街道とは、東海道、日光街道、奥州街道、中山道、甲州街道のことです。

 

 さて、前置きが長くなりましたが、こんなお話があるのだそうです。 
木曾街道(中山道)を歩いていた商人がいました。懐にはなんと大金の三百両を持っていました。この商人が薄暗い山道に差し掛かったときに、いやな予感が的中して山賊数人が現れます。
 

 商人は「こうなったら三百両は盗られても、自分の命だけは助かりたい」と諦めた時です。運よく一人のお侍が通りかかり、山賊を追い払ってくれました。三百両は現在のお金で四千万円ほどだと聞きます。

 

 商人は命も三百両も助かって、このお侍に三百両をあげてもよいと思いながら、木曾街道を一緒に宿場まで歩きます。

 宿について、お侍とは別な部屋に通された後で、商人の気持ちは少しずつ変わっていきます。

 三百両すべてをあのお侍にあげなくてもよいではないか。三分の一の百両だけをあげよう。お侍は私が三百両を持っていることは知らないし、三百両をあてにして私を助けてくれたわけでもあるまい。

 やがて、夕食も済んだ頃に、商人には別の考えが湧いてきます。お侍には五十両だけ渡そう。百両は大金だ。

 しかし、長旅の疲れもあって早めに床をとった商人は布団の中で、また考えます。せっかく貯めた三百両だし、二十両だけ渡そう、こう考えて眠りにつきます。

 翌朝、起きてみると、隣の部屋のお侍はまだ寝ています。商人は、やっぱり三百両はそのまま持ち帰ろう。こう考えて、一両も渡さずにお侍に気づかれないようにそっと宿を後にしたのだそうです。

 

 さて、みなさんはこの商人をどう考えるでしょうか。皆さんだったらいくらお侍にあげるでしょうか。

 一時の感情で行動するのではなく、冷静に状況を判断するということは大切ですが、人間の感謝する気持ちが時間とともに減っていきます。新学期を迎えて、皆さんの初心がなえないように、今日を忘れないでください。