若者の活字離れが進んでいると言われます。活字離れで知識が痩せ衰えていくことは寂しいことです。本を読むと面白い話に出くわすのだと知って欲しくてリドルストーリーを紹介します。

リドルストーリーとは謎に明確な答えを与えないまま終了することを主題とした物語です。

ある会社員が財布の中身の整理をすることとしました。すると見知らぬカードが出てきた。カードはプラスチック製の中央に陰陽の白黒の巴のマークが印刷されています。
まず、営業部の同僚に聞きに行くことにした。
「お恥ずかしい話なんだが、これは君と行ったどこかの会員証だろうか」
同僚は「あっ」と絶句して「そのカードは知らない」と答えます。
「それならば、なぜそんなに慌てるんだ」「記憶がない」「記憶がないだって、惚けるなよ」同僚は怯えたように「二度とそんなものを見せるなよ」とそそくさと立ち去った。

その会社員は会社の課長に仕事関係のカードではないかと尋ねる事とした。このカードは何でしょう。カードを見せると課長は「嫌味かね」と言った。
「それだよ」課長はカードを指さした。
「あんまり人を馬鹿にするものではない。そんなカードを持っていたら君の出世も早いだろう」「いや、課長、これは見覚えのないカードでして」課長はみなまで聞かずにひどく激昂して席を立った。

帰宅して夕食をしている最中に、妻が声をかけてきた。「何か考え事?」
「同僚と課長にこのカードを見せたら叱られ、言い争いになった」
「実はこのカードなんだけどね」カードを見せた妻の身体が凍りついたように固まった。「ひどい悪趣味ね」妻は急に席をたった。
どうしたんだ。
「家を出て行くのよ」妻は別室に行き荷物をまとめ始めて去って行った。

こうなるとカードに書いてある住所に自分で行って確かめるしかない。目的のビルにたどり着いて、カードの住所の10階にたどり着いた。 部屋には誰かいる。黒いスーツに黒いネクタイという白髪の老人。
黙ったままの老人にカードを見せた。すると老人は涙を流し始めた。
たまりきれずに男は尋ねた。「これはいったい何のカードなのですか」 老人は胸から取り出したハンカチで涙をぬぐう。
それから徐にこちらを見据えて口を開いた。

このお話はこれで終わりです。